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ーイギリス 某所ー
外の空気と室内の空気の温度差によって水分を得た窓に朝を告げる光が反射する。
エドワードは電気を点けず、その光だけを頼りに少し薄暗い部屋で、朝食をとっていた。
エドワード「はぁぁぁぁ~…」
エドワードは、出勤というほぼ無意味な行動に嫌気がさしていた。
しかし、生活のサイクルや「何か」することを求めて、
形式上だけではあるが、
会社には出勤し続けていた。
この日も、大して特別な感情もなく、
ただ「何か」することを求めて…
といっても、
とりわけ「何か」を期待するわけでもなく出社の支度をしていた。
この季節には些か不適切な薄手のロングTシャツを脱ぎ捨て、
鏡に写る自身の姿を凝視した。
鏡に背を向け、彼は何かを思い出すように背中を擦った。
彼の指の先には大きく、
そして深い切り傷が刻まれていた。
エドワード「…………。」
憎悪…
憤怒…
怨恨…
彼の心には、これらどれにも当てはまらない複雑な感情が構築されていた…
ふと我に返り、
頭を左右に振って、ハンガーにかけてあるシワひとつないスーツに手をかけた。
それからは何もなかったかのように朝の日常を繰り返した。
支度を済ませ、玄関のドアノブに手をかける。
1歩外に出た瞬間、
自然と身を屈めてしまうほどの冷気と…
夜露をキラキラと輝かせる太陽を体いっぱいに受け、
大きく背伸びをして、
会社へと赴いた。
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