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デスクにつくと大恐慌による影響で少なくなった取引先からのメールを読んで返信、
という日課をこなし…
結局この日も大した「何か」をすることもなく、
太陽が沈む前には会社を出た。
すれ違う人々の吐く息が白く着色されるのを見て、
次第に闇に包まれていくオフィス街を1人で歩くエドワードは、
どこか虚しさを感じた。
家に着くと、
ポストに入っていた郵便物2通をかじかんだ手に取り、
暗く冷えきった家を暖めるべく、
すぐに暖房のスイッチを押した。
スーツを脱ぎ捨て、
この季節の日課であるホットミルク1杯を一気に冷えた体へと流し込む。
[ドカッ]
とソファーに勢い良く座り、
先程の郵便物に目をやった。
エドワード「あー、
またクレジットの請求書か…
いつも忘れるんだよな…
もう1通もどうせ……」
請求書を見ながら手探りで2つめの郵便物を拾い上げた。
エドワード「………」
2つめの郵便物を目にした瞬間、エドワードの表情は真剣なものへと変わった。
その郵便物は、
真っ黒い封筒に差出人の名前も住所も切手もなく、
ただ白いインクで
[エドワード様]
と書かれていた。
エドワード「気味が悪いな…
わざわざここまで来てポストに投函したのか…
物好きも居るもんだ。」
少しの疑惑と少しの不安、
そして、
少しの好奇心を抱きながら封を切った…
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