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「いい? 一歩ずつ、ゆっくりだからね。間違っても走ったりしようなんて―――」
「解ってる解ってる! つーかお前、何で付いて来るんだよ。別に見張りなんて……」
「違うわよ。ちょっと……あたしも、歩きたくなったから」
ああ、午後の風が涼しい。
あたし達二人が歩いてるのは、小さい頃によく駆け回って遊んだ細い砂利道。
揺るやかな上り下りを繰り返しながら続いていく。散歩にはぴったりだ。
のんびりと足を進めながら、あたしはアルの顔を思い出した。
顔って言ったって、今は鎧の顔なんだから表情がある訳じゃ無いんだけど。
でも、あたし達を散歩に送り出した時のアルは、確かに泣き笑いを浮かべてた。
『ウィンリィ、ありがとう……ごめんね』
そう、エドに聞こえない様に小声で囁いた時のアルは。
「……本当に、馬鹿揃いなんだから……」
「え、ウィンリィ、何か言ったか?」
「ううん、何でもない」
そう。こいつら兄弟は揃って大馬鹿者だ。
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