風の途 -カゼノミチ-

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「―――あのねぇ、どうしてこう同じ事何度も言わせるのよっ!?」 「だからっ、オレだって何度も言ってるだろ!? 時間が無いんだよ!」 真っ向からぶつかり合う目線。この数日間、何度同じ内容で言い争ったか分からない。 あたしの口喧嘩の相手は、小さい頃からこんなやり取りをし慣れた幼馴染み(と言うか弟分達)の兄貴の方。 昔みたいな他愛の無い喧嘩なら、場合によってはあたしが引いたって構わない。 でも。これだけは絶対に譲る訳にはいかなかった。 「あたしはあんたの主治医も兼ねてるのよ!? 主治医の言う事はちゃんと聞いて!  あたしは無茶するなって言ってるの! あんた、あの手術からどれだけも経ってないのか解ってるの!?」 「それが何だよ!? 手術して半年でリハビリ始めちゃ悪いって言うのかよ!」 「…そういう事を言ってるんじゃ無いの……!」
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