風の途 -カゼノミチ-

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アルは今戸口の外にいる。あたしがエドを説得する間、隙をついて逃げ出されない様に見張りを頼んだから。 だから、この言い合いはアルにも聞こえてると思う。どんな……どんな思いで、アルはこの台詞を聞いてるんだろう。 アルが苦しんでるのを知ってる。エドが苦しんでるのも知ってる。 だからこそ―――これだけは、譲れない。 「あたしは……あんた達の事、どっちもものすごく大切なの。だから……解ってよ……」 一人っきりで、苦しまないで。 半泣きでへたり込んだあたしの肩に、少し間を置いて、手が置かれる。 思わず顔を上げると―――困ってるみたいな、泣いてるみたいなエドの顔があった。
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