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「練習は今度やるから。教室ではやめようよ」
私が強く言ったので、ヒカリはミラーをカバンにしまう。
「萌美は今日のために何かしたの?」
「え……?」
「だって今日は王子様と話す特別な日だよ?」
「う、うん。髪は普段よりも丁寧にブローしたし……。あとでリップも塗り直すし……」
「それだけ?」
「……」
「いつもとたいして変わらないね」
「だって、どうしたらいいのか分からなかったんだもん。下手にいじくって失敗するのも恐かったし」
「まぁね。私のまつげも失敗だから、偉そうに言えないか」
「……」
私が黙ってしまうと、ヒカリは明るく言う。
「とりあえず今日は会話で頑張ろう!」
その会話だってまったく自信はないまま、とうとう放課後を迎えた。
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