長門「……おねしょ」

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古泉「親御さんが買い与えて読んであげたという可能性がありますよ」 キョン「その可能性だが……ニヤニヤするな」 古泉「ああ、すいません」 キョン「……その可能性は極めて低い」 古泉「何故です?」 キョン「どうしてかわからんが、両親のことが思い出せんのだ」 古泉「……」 キョン「今の記憶では、俺と涼子、有希の三人暮らしで、     たまにハルヒが遊びに来る、っていう形になっている」 古泉「なるほど」 キョン「だが、この記憶だと無理がありすぎるんだよ」 古泉「……」 キョン「そう考えると、この日常への違和感が拭えなくなった」 古泉「違和感を感じるまで不思議には思わなかったんですか」 キョン「それが一番の不思議なんだ」 古泉「なるほど」 キョン「貸した記憶のないハサミ、買った記憶のない服」 古泉「……」 キョン「数えていけばキリがない」 古泉「……あなたはさすがだ」 キョン「それにな」 キョン「俺の妹は一人だったはずなんだよ」 古泉「……まったく、困ったものです」 キョン「何がだ?」 古泉「今日一日だけのはずなのにそこまで思い出してしまうとは」 キョン「ああ、どうやら俺はかなりのシスコンだったらしいな」 古泉「兄妹愛というものは美しくもあり、厄介でもありますね」 キョン「……」 古泉「とりあえず、今日だけはあの二人を妹だと思ってくれませんか?」 キョン「それは構わんが……」 古泉「ありがとうございます。    明日になれば解決する問題ですので安心してください」 キョン「あ、おい!」 古泉「これ以上邪魔してはいけませんので失礼させていただきます」 キョン「最後に一つだけ聞かせてくれないか?」 古泉「ええ」 キョン「この状況は誰が仕組んだものなんだ?」 古泉「……物語に納得しなかった人物ですよ」
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