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「……おい、一貴……どこが『廃墟』だよ……しっかり『売家』って看板が出てんじゃねーか!」
俺はその売り家を指さしながら一貴に向かって怒鳴った。
「いや、でもよく見ろよ。窓とか割られてるわ、壁に落書きされてるわ、廃墟同然だろ」
と、一貴は後頭部をガリガリ掻きながら言う。
確かに『売家』の看板が出ているにしてはボロいというか手入れもされてなく汚いというか――不気味というか。
峠の麓にポツンと建てられたこの家に今から俺達は入るんだ。
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