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スッと、玄関の奥――家の中から人の気配がした。
自分が目を開けているのか、閉じているのか、よく分からない程の暗闇の中からこちら側へ近づいて来ている気がする。
「おい……ヤバくないか……?」
ビビってると笑われてもいい。
俺は目は玄関に釘付けになりながらも後退りした。美月も俺に続いて一歩後ろに下がった。
「そうね、ヤバいわね。相当怒ってるわ」
無表情で春田さんは言った。
それに対して美月が
「……分かるの?」
と聞くと――
「まあね。あたし、こういうの視えるから」
春田さんは表情一つ崩さないまま答えた。
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