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井上が薄く笑う。
「覚えてないんや?」
俺は井上から目を逸らさずに頷く。
「まぁ、あんだけ飲んでたらしゃーないよな。無理もないわ」
意味深な笑い。
「ヤったやん?俺と」
嫌な汗が出てくる。
「嘘やろ…」
「ほんまやで?」
井上がベッドに乗って、四つん這いで俺に近付く。
綺麗な手で、首筋を撫でられる。
「こうやって、誘ってきたやん」
ツー…
厭らしく動く、井上の指。
不覚にも、反応してしまう。
「…俺から、誘ったん?」
身を捩りながら訊ねる。
「せやで。」
井上は上目遣いで俺を見たあと、体に視線を落とした。
首筋で留まっていた指が、徐々に下に下がってくる。
それだけで、呼吸が荒くなってしまう。
「…もう感じてるんや?昨日もそうやったな。」
情けなかった。
こんなことで反応して、馬鹿みたいだ。
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