星流し

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  「おい!なにつったってんだ!?早く走るぞ!!」   一人の罪人の声で我に返った。   そして今、自分が爆発寸前のポッドを目前にして一歩も離れていないことに気付く。     「すまない!すぐに離れよう!!」   他の罪人はもう離れたのだろうか。     姿が見えるのは自分を気遣ってくれた罪人だけだった       二人共無我夢中でただひたすら前へ、前へ全力で走り続けた。   拘束機で両腕が振れず 砂だらけの足場では上手く走れない。   つまづいただけでも大幅な時間ロスだ。     砂を蹴る音と二人の荒い息遣いだけが風が切る音を消す。     かなり走ったつもりでもやはり上手く走れないせいか まだポッドがはっきりと見える。     そんな中だった。   「ぐっ!?」     隣を走っていた罪人が、砂に足を取られ地面を転がった。     まずい。 もう3分以上は走っている。 自分が立ち尽くしていた時間も足すともうタイムリミットはわずかだろう。     「捕まれ!見捨てるなんてできないからな!!」   クラウドは自分の肩を差し出した。 一刻を争う。 彼もそれに応じ、両腕をクラウドの肩に乗せ体を起こす。   「ありがとう!助けられた!!」   クラウドは静かに頷きすぐに走り始めた。       《ドォン!!》 という鈍い破裂と共に心地よくも感じる一定のリズムで刻まれる地響きがクラウド達の足場まで伝わる。   後方から発火による光が自分達の影を対面させた。   直後に運搬車両にでも追突されたと錯覚させるような衝撃が背面を襲う。   想像を絶する熱風に吹き飛ばされ体が木葉のように宙を舞う。   呼吸をすれば、熱で肺が焼かれ、砂に侵されるだろう。
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