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私の剣が、迷うことなくその心臓を貫く。
「ッ――!?」
言葉にもならない苦痛の叫び。白い喉を反らせ、艶やかな金糸を振り乱す姿もまた、一枚の絵画のように美しい。
ぞくぞくする。私にこんな感情があるなんて、知らなかった。貴様のせいで、私はここまで狂ってしまった。
「ふっ……ふふふ。あははは!!」
笑みが零れる。壁に深く縫い付けられ、逃れられない痛みに堪える貴様。眉根を寄せ、身を捩る姿にさえも魅せられる。
その身を蝕む痛みに喘ぐ、たったそれだけのことでこの身体は熱を持つ。我ながら、呆れたものだ。
これは、今まで誰にも遂げられなかったこと。“クリムゾン”を滅す。それを、この私がやってのけた。誰が見てるわけではないし、そもそも邪魔者は全て消した。賞賛してくれる者など、何処にもいないし必要無い。欲しいものは、手に入った。
――これで貴様は私のモノ――
「やっと、やっと貴様を手に入れたぞ。……レイ」
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