450人が本棚に入れています
本棚に追加
「君は……何者だ??」
少女はこくびを傾ぎ
「翠だけど??」
甘すぎず低すぎず耳に心地よいハスキーな声で答える。
その声には、まだ幼さが残っていた。
―しかし、竹蔵の顔は凍りついていた。
(そんなハズはない。)
(そんなハズはない。)
少女翠は、竹蔵が一人悶々としていると、軽やかに頂上から飛び下りた。
ストン。
信じられない出来事だ。
軽く6mはあるはず。
しかし、翠はそれをあくまで流れる様に、極自然にやってのけたのだ。
(……………。)
「格好からしてあんたもしかして政府の人間??」
「だったら??」
(だったらなんだっていうのだ??)
「だったら……アイツは生きてるの??」
「??あいつ?」
翠はわずかに顔をしかめてすぐに何でもないと言った。
「…………」
「…………」
長い沈黙が流れる。
さすがの竹蔵もきつい。
(もしかしてこの少女は噂の…イヤ、だったら隣に男がいるはずだ。)
何回も同じ疑問を抱いては同じ答えで疑問を打ち消す。
先に目を反らしたのは――翠の方だ。
否、正確にいうと違う方向に目を向け、竹蔵の見えないはるか彼方を見ている。と言った感じだ。
最初のコメントを投稿しよう!