翠-Sui-

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「君は……何者だ??」 少女はこくびを傾ぎ 「翠だけど??」 甘すぎず低すぎず耳に心地よいハスキーな声で答える。 その声には、まだ幼さが残っていた。 ―しかし、竹蔵の顔は凍りついていた。 (そんなハズはない。) (そんなハズはない。) 少女翠は、竹蔵が一人悶々としていると、軽やかに頂上から飛び下りた。 ストン。 信じられない出来事だ。 軽く6mはあるはず。 しかし、翠はそれをあくまで流れる様に、極自然にやってのけたのだ。 (……………。) 「格好からしてあんたもしかして政府の人間??」 「だったら??」 (だったらなんだっていうのだ??) 「だったら……アイツは生きてるの??」 「??あいつ?」 翠はわずかに顔をしかめてすぐに何でもないと言った。 「…………」 「…………」 長い沈黙が流れる。 さすがの竹蔵もきつい。 (もしかしてこの少女は噂の…イヤ、だったら隣に男がいるはずだ。) 何回も同じ疑問を抱いては同じ答えで疑問を打ち消す。 先に目を反らしたのは――翠の方だ。 否、正確にいうと違う方向に目を向け、竹蔵の見えないはるか彼方を見ている。と言った感じだ。
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