第二章 ニアン学園とガイアの友人たち

6/29
88481人が本棚に入れています
本棚に追加
/1600ページ
   そしてガイアが足を止めたのは、一段と豪華な金の装飾が施された扉の前だ。扉向こう側から強い魔力を感じられる。おそらくは、この向こうが学園長室であり、学園長は強い魔力の持ち主なのだろう。 「はい」  ガイアが扉を三度叩くと、返ってきたのは落ち着いた男性の声。  失礼しますと声をかけて扉を開け中に入る。白っぽい色で統一された豪華な部屋の机を挟んだ正面に、立派な肘掛け椅子に座っている一人の男性がいた。  齢六十ほどの男性である。白髪混じりの黒髪を短く刈り込み、厳つい顔をして、緑の瞳を持つ目の目尻に、皴を寄せて微笑んでいる。  男性の気配や魔力を近くで感じ、直感した。──この男性は兵(つわもの)である、と。ただ座って笑みを浮かべているだけであるが、全く隙がない。もし今、サキカが魔法で氷の槍を作り出して彼を突き刺そうとしても、難なく避けられてしまうであろう。  扉が閉まると男性が立ち上がりサキカに近づき、左手を差し出す。その動作にも全く無駄がなく、しなやかな動きから必要最低限の筋肉を必要最低限の力で動かしていることが分かる。 「君がサキカ君だね。ステラから君の話は伺っているよ。わたしが学園長のラウ・イスカーだ」 .
/1600ページ

最初のコメントを投稿しよう!