第二章 ニアン学園とガイアの友人たち

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   馬車や車という手段もあるが、馬車に乗って学園に行くのは遠くから来るものと貴族ぐらいであり、車などという高級なものに普段から乗れるのは上級貴族ぐらいなのだ。  二人で並んで登校していると、ニアン学園の制服を着た学生たちと出会(でくわ)した。学園に近づくにつれて、その人数は増していく。  周りから痛いほどの視線を感じる。恐らく、ガイアが見たことのない同年代の少年──つまりは自分──と歩いているからだろう。  ニアン学園は小中高一貫となっているため、今日は入学式とはいえ、皆顔見知りばかりなのだ。名前まで知るのは同じクラスになったことのある生徒ぐらいであるが、廊下で何度もすれ違えば顔ぐらいは見覚えがあるのだろう。  ところがサキカは今まで学園に通っていなかったため、見覚えのない人、それも私服姿である。  しかし、それだけではここまで周りの視線を集めることはないだろう。  ならばとサキカはガイアをちらりと見た。綺麗な、というより男らしい、しかし整った顔立ちをしているガイア。注目を集めている理由は、隣を歩く彼だろうか。  だが、自分以上に目を引きそうな彼には、あまり注目は集まっていないようだ。どちらかといえば、自分に視線が向いている気がする。自分の格好が何かおかしいのか。着ている服を見下ろすが、何もおかしな点はない。ギルドの自室を出る前に鏡を見たのだから、髪に寝癖がついていたり食べ滓が口の周りに付着しているということもないだろう。  結局、その答えが出ることはなく、強烈な視線の中、サキカはガイアと共に、学園に到着した。 .
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