休日、俺はあいつと二人で……

6/11
前へ
/292ページ
次へ
「あたし、テレビあんま見ないし」 「へぇ」 意外だ。こいつはテレビはしっかり見てるタイプだと思ってた。 「それに比べて、冬真君は見てるんだね」 「ん? ……ああ。ここには俺一人しか住んでないし、見たい時に見たい物が見れるからな。手に入れられる情報は、なるべく手に入れたいしな」 そう言って、俺はフッと小さく微笑んだ。 あの家にいた頃は、自分の見たいテレビなど見れなかったからな。その分、ここでは好きな時に見れる。 「そっか。じゃあ、教えて欲しいんだけど、四大家系って何?」 誰でも知ってそうなことを、本気で聞いてくる楓に吹き出しそうになったが、何とか耐えて、楓に四大家系について説明した。 四大家系とは、高梨屋、蜜谷香寺、雛乃崎、有栖川の家を総称して呼ばれている、一言で言うなら大金持ちの家。 隣町の汐美原町という田舎町に、何故か東西南北に分かれて家がある。こう言った家は、日本の首都、東京あたりにありそうなんだが……、詳しいことは不明。 多分、聞けば分かると思うが、そんな気は起きない。 説明を終えると、楓は満足そうな顔をしていた。 「なるほどなるほど。そんな家があったとは……」 「常識だぜ? 皆、知ってる」 「ウソっ!?」 「ホント」 両頬を押さえ、驚きながら聞いてくる楓に、俺は頷いた。 「いや~! あたし、常識知らずじゃ~ん!」 ノォォォォォォ!! と叫ぶ楓。 そんな楓が面白くて、俺は笑いながら朝食を平らげた。 「冬真君は休みの日、何してるの?」 朝食を食べ終わり、8時頃、楓がそんなことを聞いてきた。 「いや、特に決まったことは……、と言うか、もう帰れよ。いい暇潰しになっただろ?」 マンガ本を読んでいた俺は、いつまでも俺の家に滞在し続ける楓に、そう言う。 だが、楓は、 「えーっ。まだ、あたし、満足してな~い!」 なんて、だだっ子のようなことを言い、俺の家から出ようとはしない。 「……あのなぁ、俺も人間なんだ。プライバシーを侵害しないでくれ」 「こっちは君のプライバシーを侵害してるつもりはないよ? 満足したら本当に帰るから。……と言うか、あたしたち、友達になったじゃん? 友達が家に来たらおかしい?」 「友達になって、家に来るのが早すぎる」 少なくても、1ヶ月の時間は欲しい。 「えぇー。そうかなぁ……」 俺の言葉に、楓は不満そうだった。さっきといい今といい、常識を知らんのか、こいつ。
/292ページ

最初のコメントを投稿しよう!

182人が本棚に入れています
本棚に追加