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「あたし、テレビあんま見ないし」
「へぇ」
意外だ。こいつはテレビはしっかり見てるタイプだと思ってた。
「それに比べて、冬真君は見てるんだね」
「ん? ……ああ。ここには俺一人しか住んでないし、見たい時に見たい物が見れるからな。手に入れられる情報は、なるべく手に入れたいしな」
そう言って、俺はフッと小さく微笑んだ。
あの家にいた頃は、自分の見たいテレビなど見れなかったからな。その分、ここでは好きな時に見れる。
「そっか。じゃあ、教えて欲しいんだけど、四大家系って何?」
誰でも知ってそうなことを、本気で聞いてくる楓に吹き出しそうになったが、何とか耐えて、楓に四大家系について説明した。
四大家系とは、高梨屋、蜜谷香寺、雛乃崎、有栖川の家を総称して呼ばれている、一言で言うなら大金持ちの家。
隣町の汐美原町という田舎町に、何故か東西南北に分かれて家がある。こう言った家は、日本の首都、東京あたりにありそうなんだが……、詳しいことは不明。
多分、聞けば分かると思うが、そんな気は起きない。
説明を終えると、楓は満足そうな顔をしていた。
「なるほどなるほど。そんな家があったとは……」
「常識だぜ? 皆、知ってる」
「ウソっ!?」
「ホント」
両頬を押さえ、驚きながら聞いてくる楓に、俺は頷いた。
「いや~! あたし、常識知らずじゃ~ん!」
ノォォォォォォ!! と叫ぶ楓。
そんな楓が面白くて、俺は笑いながら朝食を平らげた。
「冬真君は休みの日、何してるの?」
朝食を食べ終わり、8時頃、楓がそんなことを聞いてきた。
「いや、特に決まったことは……、と言うか、もう帰れよ。いい暇潰しになっただろ?」
マンガ本を読んでいた俺は、いつまでも俺の家に滞在し続ける楓に、そう言う。
だが、楓は、
「えーっ。まだ、あたし、満足してな~い!」
なんて、だだっ子のようなことを言い、俺の家から出ようとはしない。
「……あのなぁ、俺も人間なんだ。プライバシーを侵害しないでくれ」
「こっちは君のプライバシーを侵害してるつもりはないよ? 満足したら本当に帰るから。……と言うか、あたしたち、友達になったじゃん? 友達が家に来たらおかしい?」
「友達になって、家に来るのが早すぎる」
少なくても、1ヶ月の時間は欲しい。
「えぇー。そうかなぁ……」
俺の言葉に、楓は不満そうだった。さっきといい今といい、常識を知らんのか、こいつ。
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