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「……まぁ、ともかくだ」
そのことは後々、教えていくとして。それよりも、気になることがあった。
「あんたは? あんたは休みの日に何をしてるんだ?」
「あたし?」
自分に指を差し、首を傾げてくる。あんた以外に、誰がいる?
俺が頷くと、楓はう~んと腕を組んで思い出すように唸る。
「そうだなぁ……。休みの日は……、……。身体を動かすためにスポーツセンターとかに行ってるかな」
「……。そうか」
今一瞬、楓が言葉に詰まったように見えたが……気のせいだろう。いや、そう思いたい。
「……スポーツセンター……ね」
俺は少し考え、そして、読んでいた本をパタンと閉じた。
「行くか? スポーツセンター」
「え?」
俺の言葉を聞き、楓は目を丸くした。
「何をそんなに驚いてるんだ?」
「お、驚いてないよ? うん! 驚いてない!」
ぶんぶんと首を横に振りながら、楓は俺の言葉に否定の意を示した。そして、すぐに楓は笑顔になる。
「いやぁ~、確かに冬真君はそんなキャラだとは思っていたけど、いきなりだったからビックリして……。うんっ、行こうねっ? 行こう!」
こうして、俺と楓はスポーツセンターに行くこととなった。
午前10時頃
スーパーやデパートが開きそうな時間に、俺と楓は一つのスポーツセンターの扉の前に立っていた。
俺はスポーツセンターによく行かないが、楓はよく行くらしいとのことで、楓がよく行っているスポーツセンターに案内してもらった。
その店はスポーツセンターなのだが、スポーツ以外にも娯楽がある店でもあった。カラオケやらボウリングやら、等々。
その店に入り、カウンターで学生二名ということを定員に伝える刹那、楓は財布から一枚の固そうなプラスチック製のカードを出して定員の前に出していた。
そのカードの表面に書かれた文字を見て、成程と俺は思った。
ここの店の会員カードとは……、この店によく来ていると言ったことは真実らしい。いや、別に疑ってなかったけどね。
現金は前払いとのこと。
俺は定員の言われた金額を出したが、楓は会員とのことで、少し安くなっていた。……少し、羨ましいと思った。
そして、それらが全て完了し、会員カードを返してもらった楓は、不敵な笑みで俺を見て、
「勝負だっ! 冬真君っ!」
……なんてことを言ってきた。
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