始まりはあいつの一言で

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何故、俺にこんな能力が備わっているかは不明。しかし、この能力のせいで、俺は親から“気持ち悪い”との理由で家を追い出された。なので、俺は現在一人暮らしだし、学費もバイトして自分で払ってる。 親のことは嫌っており、実家には2年間帰っていない。と言うか、帰りたくないな、うん。 親が“気持ち悪い”といったこの発水能力、意外と使い道はあり、便利だが、人には見せないようにしている。 何故なら、あの親と同じように“気持ち悪い”とは言われたくないし、思われたくもないからだ。 橘冬真という人間は、意外と脆いのだ。 そう言った、心に来る言葉を掛けられた時は、多分、心が折れてしまうであろう。 さてさて、そんなことを思いながら、ジョウロに水を一杯入れて花に水をやろっかなぁ~なんて、考えていると、 パシャッ! 後ろからデジカメのシャッター音が聞こえた。 「……っっっ!!?」 人に見られたくないと思った矢先に、写真を撮られた!? 「……へぇ、手から水出してるね。何かの手品? 橘君」 そう後ろから言われて、俺はあまりの出来事にジョウロを落とした。床にジョウロに入っていた水がこぼれるが、そんなもの、気にならなかった。 「あれぇ? 橘君って、手品出来たっけぇ?」 「……」 ダバタバダバダバ。 俺は冷や汗を大量に掻き始めた。 「これ、バラされたくなかったら、あたしの下僕になってもらおうか?」 して、最初に戻るわけだ。
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