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「生徒の個人情報を見るのはよくないことだぞ? 住んでる場所とか、分かってしまうからな。それに、色々と悪用される時もある」
「あたしは知っても悪用しないよ?」
「……そう言う問題じゃねぇ……」
説教しても、全く反省しない高品に、俺は額に手を当てて呆れたように溜め息をついた。
「……まぁ、いいや。で、だ。何で俺の家に来たんだ?」
説教しても無駄と悟った俺は、高品にそう聞いた。
「だから、言ったじゃん。暇だから来たって」
「暇で6時に来んなよ……。迷惑だ」
大声で起こされた俺の身にもなってくれ……。
正直、まだ寝足りない。色々あって、寝たのは午前2時だったから、4時間しか寝ていない。
こいつを追い出して、もう一度寝直すか。
「用件は済んだか? じゃ、帰ってくれ。俺は眠たいんだ」
上の言葉の証拠に、俺は高品に見せ付けるように欠伸をした。
「眠気覚ましにコーヒー、作ってあげようか?」
だが、高品は帰る気はないようだ。
「いらん。どうせ、また寝るからな」
「寝ないでよ~。何かしようよ~」
「帰れ」
「ねぇ~、冬真く~ん~」
「帰れ」
「……バラすよ?」
「ゆっくりしていってね!」
俺は入ろうとしていた布団を、物凄いスピードで畳んだ。
そして、台所に行き、冷蔵庫からお茶を出してコップに入れ、高品に……あぁ、いや、高品様に差し出した。
「粗茶ですが、どうぞ、お召し上がりください」
「ありがとう~」
高品は笑顔でお茶を受け取り、飲んだ。
「あ、美味しい」
「それはそれは……、私の首も切られる心配はなくなったようで……」
「あははっ、もういいよ、普通に話して。意味分かんないよ~」
「そうさせてもらう」
正直に言うと、言った本人が一番意味が分からなかったという訳だが。
「このお茶、美味しいね。どこで買ったの?」
「いや、それは買ってない。隣に住むご近所様からいただいた物だ」
ちなみに、俺の住む家はアパートだ。俺の部屋は二階の201号室である。
「隣って、誰か住んでるの?」
高品の問いに、俺は頷いた。
「野宮さんっていう姉弟が二人で暮らしてる。同世代でな、結構、仲が良かったりする訳だ」
その理由は、二人は俺と同じ“普通じゃない”人間だからだが……高品に教える必要もないだろう。
「へぇー。そういやさ、冬真君ってここで一人暮らししてるの?」
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