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「何でアンタ、此処に居んのよ」
少し黒ずんだ空を背に、颯汰の顔をのぞき込むように見つめながら彼女はそう訪ねてきた。
彼女は青のブレザー、赤色に黒のチェックが入ったネクタイ、そして紺色のスカートを着ている。
颯汰の事をじっと見つめているその瞳は透き通った薄茶色をしている。
髪も同色で、肩ぐらいまでの長さだ。
、、
「どうやってこの空間に入ったのよ」
再び彼女が口を開くと不思議そうに颯汰にそう問いかけた。
しかし颯汰は答えなかった。いや、答えられなかった。
それもそのはずで、颯汰は一体何が起こっているのか全く理解できていなかったからである。
混乱していて頭が全く働かない。ぼーっとしていて、ついには偏頭痛まで起きてきた。
何だ? 何なんだ一体!?
自分の目の前にいる少女は一体何を喋っているのだろう?
そして自分は一体何処に居るのだろう?
颯汰は首をうごかし辺りをぐるりと見渡した。
そこはいつもと変わらない見慣れた風景、ではなかった。
、、
確かに此処はいつも自分が登校、又は外出する際に利用している通路に似ていた。
しかしそれは似て非なるものだった。
確かにあそこの家も、あっちに見えるコンビニ、そこにある『止まれ』の道路標識だって、何もかもがその通路と合致するのだ。
が、しかし、一つだけ違ったのは人が、いや、人の気配が全くしないのだ。
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