プロローグ

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――ピィー!! 長い笛が、その試合の終わりを告げる。 否。 その笛が告げたのは、その試合の終わりだけではない。 敗れた武蔵村山北ニ中の3年生の、中学サッカーの終わりもまた、同時に告げていた。 「負けちゃったね・・・・・・御子柴(みこしば)くん」 一人の少女が、グラウンドからベンチへと引き上げる一人の選手に、声を掛ける。 「ああ、御堂(みどう)すまない、せっかくキミが応援してくれたのに――」 「そんな・・・・・・あたしこそ、マネージャーなのに力になれなくて・・・・・・」 少年と少女の間に、しばし沈黙が流れる。 ふと、少女は対戦相手だった明法大八王子中のベンチに、目を留める。 勝利に浮かれ、はしゃぎまくる選手達をよそに、ジャージ姿の少女達が黙々と備品を片し、試合の記録をまとめている。 私立の名門校と、ただの公立中。 女子マネの動き一つとっても、差は歴然としていた。 そして少女は、ある決意をする。
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