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するとC――もとい千穂は、いかにも高慢ちきな態度のまま、こう言い放った。
「何の用も何も、先角地区の引き渡しの期限は今日までだったはずですわよ! 千恵お姉さま!」
――えっ!?
――あの生徒会の残念な“でかちち”と、園芸部の千恵部長って、し、姉妹なの!?
さなえが思わぬ展開に頭をこんがらがせていると、千恵が負けじとこう千穂に言い返す。
「引き渡し、って、あんたら生徒会が勝手に決めたことでしょう!? “仲裁”と称して、私たち園芸部から先角の地を取り上げるために、ね! 千穂!」
一方、脇でただただ呆けていたさなえは、じっと椎名姉妹の言い争いを見守っていた一美に、こう耳打ちする。
「先角地区の問題に、生徒会が“仲裁”って――どういうことですか、斎藤先輩?」
すると一美は、困ったような顔で、こう答える。
「表向きは、園芸部と耕作部で使用権を争っている“先角地区”を、一旦生徒会で預かって、生徒会立ち合いのもと証拠を出し合って正当な使用者を決めましょう、てことなんだけど、ただ……」
そこまで言って、言葉を濁す一美。
一方、さなえは、
――ああ、“引き渡し期限が今日”てのは、一旦生徒会へ預ける期限、てことか!
と納得する一方で、こうも思っていた。
――でも“表向き”って……千恵部長も“取り上げる”とか言ってたし……あの“でかちち”が何か企んでるのかしら!?
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