1‐1:Report in A.C.2128 24.Dec

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次の瞬間には部屋と部屋をわけている強化ガラスに肉薄し、拳を叩きつけた。 爆発の衝撃にも耐えうる強化ガラスにひびがはいる。 部屋の中の研究者たちが一斉に身を引く。 だが、形代だけは冷静であった。 「まったく……一応、期待はしていたのですがだめでしたか。イドの力が強くとも、それ相応に心が強くないと、その力を御することはできない。こうなってしまったのは、あなたの心の弱さが原因ですね」  形代はガラスを叩き続ける被験者だったものに語りかけた。 そして、叫ぶ。 「ペテロ、アンデレ!!」  その声に反応するかのように白い部屋に二人のヒーローが舞い降りた。 ペテロとアンデレ。 前者は岩のようなごつごつしたスーツであり、さながら悪鬼のよう。 スーツには溶岩流のような裂け目が各所に入っている。 頭には湾曲した巨大な角が生えており、背には十字架の形をした大剣を背負っている。 後者は鎧武者のいでたちであり、背中に太刀を背負っている。 形代が短く声を発する。 「処分しなさい」
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