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そう。つまりこれは始めから今までシナリオ通りだったのだ。『高次元世界』の書いたシナリオの流れ。
その瞬間、チヒロの何かに火が付いた。
長い間忘れていたこの感覚。
そう、これは―――
「ふ、ふふふふふ・・・」
「あ、あの・・・チヒロさん?」
突然俯いたチヒロに驚くアリーナ。チヒロからは何とも言えないオーラが立ち上り、笑い声が悪魔のそれに近いものに聞こえたのだ。
「ふははははは!これがっ、長らく忘れていた理不尽!!実にイイ!!実に良いぞおお!!」
そう、事なかれ主義の彼が長らく忘れていたもの。それは理不尽。
しかも、圧倒的なまでの退路なきもの。
逃げ場は無く、まっすぐに突き進むしかない道を駆け抜ける。
ああ、なんということだろう・・・
「母さん、親父・・・俺は今猛烈に感動している・・・生んでくれてありがとう。そして・・・」
天井を仰ぎ見るチヒロ。何かの枷が外れたかのように思考はクリアー。
そして、感じる『高次元世界』の存在。
「感謝するぞ、『高次元世界』。俺は今猛烈に燃えている!!!」
バッ!と天井に手を掲げるチヒロは、高らかに声を上げて宣言する。
「結ぶぞ!その契約!!俺は、『世界の守護者』・・・柳チヒロだあああ!!!」
瞬間、世界が応えた
『高次元世界』の意思が、自分へと語りかける。
『世界の守護者』としての生まれ変わりを。そして・・・
【理念】の権能を―――
余談であるが、この時のチヒロはかなりぶっ飛んでいた、というのはアリーナの談である。
「あんな人、二度と会いたくないです・・・」
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