[異世界です、お兄様]

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『世界の守護者』となったチヒロは早速【理念】とやらを発動させようとする。 が・・・ 「おい、どうやって【理念】は使えるんだ?」 「私が知るわけ無いじゃないですか」 応接室から移動した二人は現在、異世界への門の前へと立っていた。 門、といってもただの黒い穴がぽっかりと開いているだけの門というのもおこがましいものだが。 が、アリーナ曰くこの門は見るものの認識によって全く違う様相になるらしい。 つまり、チヒロにはただの穴に見えてもアリーナには荘厳な門に見えているのだ。 どうやらチヒロが認識する世界というのは自分よりも小さいものに見えているのだろう、というのがアリーナの解説。 そして、異世界にいざ行こうとした矢先、【理念】について何も知らないチヒロは、とりあえず適当に何かを行うとして、何もできなかった。 そもそも『世界の守護者』となっても元はただの一般人。 いきなり人外の力を持ったからといって扱いきれるわけも無く・・・こうしてアリーナに聞いてみたのだが。 「何?お前実は『世界の守護者』なんて嘘でしたとか言うなよ?」 「言うわけ無いじゃないですか!いいですか、【理念】は『高次元世界』が与える【理】ですが、その認識は人によって全く違います。 そもそも、ただの概念でしか無いものをどうやって言葉にしろと?アレですか?あなたは馬鹿ですか?死にます?サクッと逝っとく?」 「いきなりトンチキ説明されて理解できるか!それにもう死んでるし、せめて手本くらい見せてみろ!このツルペタ!」 「うがああああああっ!!!!いいでしょう!世界の守護の前に灰燼に帰してあげます!! 【理念】!!」 思わず本音を言ってしまったチヒロだが、結果的には【理念】扱いを生で見ることができる。 代価は大分大きいものとなったが。 「【理】の解!天誅!制裁!雷!!【理念】顕現!!」 「・・・・・・」 人差し指を天へと向け、呪文のようなものを紡ぐアリーナ。すると、何も無いはずの天井に真っ白な光が灯る。 それは一瞬で巨大なエネルギーの塊となり、バチバチと放電を始めた。 これは、アレだ。あの雷がまっすぐに落ちてくるパターンか。
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