[幕開けです、お兄様]

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柳チヒロ。それが俺の名前だ。本日午前零時を以て成人の仲間入りを果たした俺は、途方に暮れていた。 「あのぅ・・・大丈夫ですか?」 「・・・・・・」 いつものように大学へ行く途中、急に意識が飛んだ。運転中に。 その後、何やかんやあった様な気がするが思い出せない。 そして今、何かに体を揺さぶられて目を覚ましのだが・・・ そこで、目を疑った。 目の前で美少女が自分を覗き込んでいるではないか! 年は高校生くらいだろうか。肩までに切り揃えられた髪は栗色。二重の大きな瞳に困惑を宿しながらこちらを覗き込んでいる。 「・・・・・・」 吃驚して声が出ないだけなのだが、少女は泣きそうな表情で俺の顔を覗き込んでいる。 というか、このままではキス出来てしまう。確実に。そう、確実に。 大事なことなので二回言ったぞ。 「・・・・・・」 さすがにこのままキスしてしまうのもアレなので、少女の視線から逃げるようにゴロリ、と体を横に転がしうつ伏せになる。堅くひんやりと冷たい感触を床は伝えてきた。 「!?」 「ひゃんっ!」
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