[異世界です、お兄様]

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「いよっしゃ!いざ、異世界へ!!」 そういって聖剣を鞘に仕舞うと真っ黒な空間に飛び込み、一直線に駆ける。 この時のチヒロは既に尋常で無いほど身体能力が上がっており、数百メートルという距離を数秒で駆け抜けてしまった。 が、たどり着いた目的地を前にしてチヒロは一気に冷静となった。 「・・・流石に、アレはまずいよなぁ」 直感的に判断したチヒロ。とりあえず、【理念】で直しておこう。 できないかも知れないが。 巨大な門の前へたどり着いたチヒロは、改めて反省をした。 元々は純白だっただろう外装は真っ黒に焦げ、あちこちに亀裂を走らせていた。 さらに、何か鍵があったのだろう場所には真っ二つに割れた鉄の塊が無残にもぶら下がっていた。 どう見ても半壊です。本当にごめんなさいでした。 「【理念】何とか元通りに戻してくれ!」 チヒロは精一杯の謝罪を胸に門へと手を当て修復の【理念】を送り込んだ。 するとどうだろう。門の凄惨な外装は見る見る修復されていくでは無いか。 まるで巻き戻すように元通りのなったその門は、錠前をガチンと閉めた。 「・・・・・・」 そう、完全に閉めてしまったのだ。 『世界の守護者』の最初の試練。それは、異世界へ入ることだったのだ。
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