[異世界です、お兄様]

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数分後、途方に暮れているチヒロの上方で錠前が前触れも無く外れた。 何かがひび割れて行く音と共に、異世界の門が開いていく。その先には、見たことも無い風景が広がっていた。 蜃気楼のように揺らめく門の向こうには大きな大陸が見えており、否応なしに期待感が膨らんでいく。 「えっと、『世界の守護者』の柳チヒロ・・・です。おじゃましま~す」 門の大破の事もあるのか、何故か敬語になるチヒロ。 そっと門を潜ろうとしたとき、不意に声がした。 「―――こんにちは、お兄様」 それは、鈴のように透明で可愛らしい女の子の声。 まだあどけなさの残る、少し無感情な声質。 脳内に響いた、確かなその声に返事をする間もなく 「え・・・ええええええええええ!?」 大陸が見えていたそのままの景色の場所。つまり・・・ 遥か上空から異世界へと突入したのだった。
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