[こんにちは、お兄様]

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が、それは全くの無意味であることを悟った。 大地が動いているのではない。 今自分が立っている丘。 (これ、生き物の背中だったらのか・・・) 誰にいうでもなく思う。というか信じられなかった。 まさか小高い丘の正体がドラゴンだったなどと誰が思うだろうか。 「おいおい・・・」 慌ててドラゴンの背中から飛び降りたチヒロはその余りの巨大さに圧倒される。 全身を覆う鱗は鋼色に輝き、金色の瞳は自分の縄張りの侵入者をしっかりと見据えており、四肢は大地に根を張ったかの如く踏みしめられている。 ファンタジーではお馴染みのモンスター、ドラゴン。 現実でみたチヒロの感想 「怖っ!」 ただこの一言に尽きた。 見上げる程巨大なその体躯。それだけで立っているのがやっとの精神状態だ。 無意識に体は震え、気力は萎え始めている。 さらに世界の知識を無意識に使ってしまったのか、目の前のドラゴンがいったい何者なのか理解してしまった。 サルギアの森の主。それがこのドラゴンの呼ばれ方である。 現在いるサルギアの森はメルフィア王国という国の領土内の森で、最も危険とされる特級危険区域の最深部。この森の守護者として奉られているドラゴンの巣だったのだ。 どう考えても一方的に侵入したチヒロに非があり、このドラゴンが怒るのは正常なことだ。 どうやらこのドラゴンにちょっかいを出した人間たちは“一人の例外もなく”殺されている、と世界の知識は教えてくれた。 「えっと~・・・お邪魔しま~す」
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