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ゴアアアアアアアア!!!!!
チヒロが引きつった笑みを浮かべながら挨拶すると、ドラゴンは大声量の咆哮でこちらに応えた。
その咆哮だけで木々はざわめき、近くで様子を窺っていた動物達は皆逃げ出してしまった。
残ったのは咆哮で完全にビビってしまったチヒロとドラゴン。そして、先ほどの少女だけとなった。
「―――人の子よ」
「へ!?」
突然厳かな声が聞こえたかと思うと、目の前のドラゴンがジッとこちらの様子を窺っていることが感じ取れた。
「ドラゴンが・・・しゃべった・・・」
「―――生まれおちて幾星霜を生きる我らにとって、人語を解することは造作もない。人の子よ、汝は何故我が領域に足を踏み入れた」
ドラゴンの目は有無を言わさない威圧する視線をこちらに向けている。僅かでも嘘を言えば即座に食らうぞ、というプレッシャーまで掛けてきている。
しかし、力でいきなり解決しようとしないあたり、かなり知性は高く・・・否、瞳の中には賢者としての深い知性が感じられた。
「あ~、えと。はじめまして。俺の名は柳チヒロ。訳あってこの世界にやってきたんだが、突然空に入口が出来てしまいそこから落下したんだ。
なんとか着陸できたが、その場所が偶然ここだったんだ。ドラゴンの縄張りとは知らなかったが、領域を荒らしたことは謝る。
すみませんでした!」
チヒロは包み隠さずドラゴンへ打ち明けると潔く頭を下げた。
世界は違えど頭を下げるのは謝罪の意を表すらしい。
知識の力を借りつつもチヒロは自分なりに謝る。と・・・
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