[こんにちは、お兄様]

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「―――人の子よ、汝の言葉は真か?」 「こんな時に嘘を言うほど俺は強い人間じゃない。非はこちらにあるんだから、嘘なんかつけるか」 「―――」 「・・・・・・」 しばしの沈黙が森の中に流れる。 ドラゴンは微動だにせずチヒロを見つめ、チヒロも負けじと真っすぐドラゴンを見返す。 睨み合って数分。そろそろ疲れてきたなとチヒロが思い始めた時ドラゴンが言葉を紡いだ。 「―――信じよう、人の子よ。汝の目に曇りは無く、その心は純真であると見た。領域を侵した事には目を瞑ろう。早々に去るがよい」 「・・・あ、うん。ありがとう」 てっきり怪獣大戦争でも起こるのかと戦々恐々していたのだが、お咎めなしと分かった瞬間チヒロは踵を返す。と、 「―――人の子よ」 「はいな!」 咄嗟なことに変な返事をしてしまったが、ドラゴンは気にした風もなく続ける。 「―――汝、その娘を連れていくがよい」 「・・・はい?」 「・・・・・・!」 ドラゴンのその言葉に反応したのは先ほどの少女だった。 驚きに目を開き、無表情がデフォルトだったのが完全に崩れていた。
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