[こんにちは、お兄様]

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「―――その娘は我らの宝といっても良い・・・汝に託すのも【理】の流れの一つであるか」 「ちょっと待て、理由を簡潔に即座にプリーズ」 さっきまでのビビリはなりを潜め、地が出てしまったチヒロ。 少し生意気だったかと後悔したが、ドラゴンは思慮深い表情のままだ。 ドラゴンはチヒロへ目を向けると再び言葉を紡いだ。 「―――人の子よ、その娘は汝に託す。【理】を解する者ならばいずれ理解できよう。それまで汝がその娘を守るのだ」 「・・・いつか分かるっていうのはいいけど、俺に子供の世話は出来ないぜ。何せ家無し職なし金なしだからな!」 エッヘンと胸を張った後、自分の言葉で自爆したのか目から汗が滝のように流れていたのは気のせいだと思いたい。 その言葉にドラゴンはそれくらい知っていたという表情で何かをこちらへ放ってきた。 「ん?」 咄嗟にキャッチすると、それはやけに堅い鱗だった。しかもなぜか赤い波紋が不規則に入っているものだ。 一体何かとドラゴンをみると、ドラゴンは平然と 「―――我が“逆鱗”だ。売ればはした金にはなろう」 「まて、家買って5年以上ニートで暮らせる莫大な金がはした金だと?それは富というもんだ」 再び世界の知識を借りてこの“逆鱗”の価値を調べたところ、この世界で良質の家 を買って毎日散財しながら5年以上は余裕で暮らせるだけの価値があると知ったのだ。 この世界でドラゴンの鱗は一枚で莫大な金となり、怒れるドラゴンの鱗はその数十倍の価値を持つ。しかも傷1つ付いていないこの“逆鱗”はおよそ・・・
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