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あまりの異常さにアリーナはしばし思考する。
自分は今まで数多くの人間をここに招いてきたが、こんなに平然としている人間など見たことが無い。
いや、むしろこれは夢だと言って開き直る人間は数多くいたが、ここまで落ち着き払った人間は初めてだ。
アリーナが困惑した目をチヒロに向けると、それを察したのかおもむろに口を開いた。
「なに、簡単なことさ。俺は自分が死んだことを覚えている。それをあんたも肯定した。つまり、これは現実に起こったものだと解釈して差支えない。先ほどキミが来世と言ったことに関してもだが。さて、ここで重要なのがこれが夢かどうかであるが、ぶっちゃけどうでもいい。夢なら覚めてがっかりだし、現実なら対処する。だから今現時点で現実か夢なんかを論じるよりも、今何をすればいいのかを考えるのが建設的だと思った。だからこんなにも冷静でいられるのだよ、ワトソン君」
「私はアリーナです」
「こまけぇことはいいんだよ!」
「良くありませんよ!!」
がー、とテーブルを叩いて吠えるアリーナ。既に会話の主導権はチヒロが支配していた。
その事にアリーナが気付いたのは全てが片付いた後のことだが。
チヒロはカップをテーブルへ置くと足を組み質問を開始した。
「さて、冗談はこのあたりにしておいて・・・」
「はぁ、やっと本題ですね」
「ああ、キミの年齢を・・・」
「うがーーー!!!」
ガッシャーン!!
本日で三度目の破砕音が応接室に響き渡った。
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