[幕開けです、お兄様]

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「【理】・・・って何だ?何かの決まりごとか?」 「いい質問です!【理】とは・・・」 【理】とは全世界(ここでは『低次元世界』を示す)で共通するもので、その世界が存在するための概念である。 たとえばチヒロの存在した世界には数多くの物理法則が存在する。それら未解明の法則、概念、現象全ての根幹にあるのが【理】であり、これにより世界を体現するのだ。 【理】は『低次元世界』全てに例外なく存在し、それらは多種多様である。 それらの【理】はその世界でしか発揮されず、例えチヒロの世界の技術を多世界に送り込んだとしても何も起こらないのだ。世界がその【理】を受け入れない限りは。 「ほー、で?」 「はい。【理】は理解していれば例え多世界の【理】であろうと世界に適応した形で発生、詰まるところ改変ですね。例えばピストルの【理】を持ち込んで、持ち込んだ世界に順応した形で【理】を発現すれば、その世界でのピストルができるわけです。全く無意味ですが」 【理】の改変とはすなわち世界への干渉である。仮にAという世界とBという世界があるとしよう。Aの世界の【理】をBの世界で発生させた場合、Bの世界にはAの世界の【理】が無いため何も起こらない。 しかし、Aの世界の【理】をBの世界の【理】で発現させた場合はどうか? 答えは可能である。が、わざわざAの世界の【理】を翻訳・発現というのは非常に手間がかかり、更にB世界からの干渉があるためほとんどの場合劣化した【理】の発現となってしまうのだ。 そのため、非常に良く似た現象を起こす【理】をBの世界で発生させたほうが圧倒的に効率が良いのだ。 「で、それが一切できない【理】が目の前に現れた?」 「話が早くて助かります。そのとおり。翻訳も干渉も一切受け付けず、一方的に【理】を押し付けてこれるのは自分たちよりも高次の存在のみ。あ、これも『高次元世界』からの定義ですよ~」
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