-すれ違った想い-

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義父はその日、子等にせがまれ一泊する事になった。 『すみません、お義父さんもお忙しいでしょうに』 『儂ゃかまわんよ、アンタもいろいろ大変じゃろう… もし迷惑じゃなかったら、暫くここで手伝うけど?』 義父はそう言うと、やっと寝付いたばかりの子等を眺め見 『こんなん残して…心のこりじゃったろうなぁ』 そう言うと、私に深く頭を下げその場に泣き崩れた。 『ほんまに申し訳ねぇ…アンタにこんな苦労かけさせて、アイツぁほんまに甲斐性無しじゃっ!!!』 男の人が、こんなに泣き崩れるのを、私は初めてみた。 泣きじゃくり嗚咽する義父の背中を、たださする事しか、私には出来なかった。
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