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手紙を読み終わると、義父はその紙切れを私に手渡し、こう言った。
『昨日は謝ったけど、今日は礼を言う。《千夏さん》、短い間じゃったがありがとう。 アイツは幸せじゃった…』
義父は目に涙を溜め、短い言葉を子等にかけると家路に着いた。
私は、片づけの際見つけたお父ちゃんの《らくがき帳》と一緒に、紙切れのような手紙を小箱にしまった。
らくがき帳には、語られる事のなかったアナタの思いが綴ってあったからだ。
西の空が、茜にそまり始める頃まで、私達は言葉もなく、アナタの思いに思いを馳せていた。
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