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「ドキドキしたんだって、森本」
「…森本が？」
「うん。…理由は、知んないけど」
まあ、大体は検討ついてるけどね。
「どーせ、理由はあの教育実習生だろ」
「えっ、」
まさか、薮もそう思ってるとは。
「…俺も多分、あの有岡が原因だと思う」
「だぁーよなぁ」
「あーあ、若いっていいな」なんて、オジサン臭い事を薮が呟く。
「薮は、俺にドキドキしないの？」
「……え？」
少し真剣な顔をして、薮を見つめた。
「な、なに言ってんだよ」
「だって薮、ドキドキするなんて、若いっていいなぁって」
「それは別の話。教育実習生にドキドキしたりするのってやっぱ、学生のうちしか無理だろ？だから。慧は別だよ。俺はいつだって慧にドキドキしっぱなし」
薮は俺を抱きしめて、耳元で「いろんな意味でね」と囁いた。
もう、いろんな意味ってなんだよ。
「ね。や…、宏太？」
「…ん？」
薮の名前を呼んで、抱きしめてくれてる薮の身体をよりいっそう強く抱きしめた。
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