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鴨川にさしかかり、雨のせいで濁っている川を見ていると視界の端にあるものが映る。
「……!?左之!!
あれ見てみろ!!!!」
叫ぶと同時に駆け出す。
「どうしたんだよ?
お??ありゃ人じゃねぇか!!あんなとこにいたら流されるぞ!」
二人の目に映ったもの。
それは川岸に倒れている人間であり、増水した川に今にも飲み込まれそうになっている。
近付いたときにはすでに上半身が川の中に沈みかけていたため、慌てて引きずり上げる。
「しんぱっちゃん、こいつ生きてるのか?」
言われて視線を移すと、頭部からはかなりの量の出血をしている。
「それにこいつ…、見た事もないような着物着てるぞ?
怪しくねぇか?」
確かに、見た事のないような布地。変わった着物を着ているのは確かだ。
「…息はあるみたいだな。
とりあえず屯所に連れて帰るぞ。怪しいなら尚更だろ。」
一先ず放置するのも気が引けたため、連れて帰るという結論に至りその場を後にした。
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