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「お、目が覚めたのか。」
話しかけてきたのは、端整な顔立ちの落ち着いた雰囲気のある男だった。
「気分はどう「あれ~?これがさっきの奴??」
男が話しかけようとしたとき、一緒に入ってきた小柄な男が遮った。
「平助、おまえな「しんぱっちゃん、こいつ随分綺麗になったな!」
またもや話を遮られ、男は軽く意気消沈しているのが伺える。
「あぁ…、運んできたときに香夜ちゃんに会ってな…。傷の手当てやら、なんやらしてもらった。着物はなんでかそのままだけどな。
それより平助。さっきからなん「香夜ちゃんか!彼女面倒見いいもんね~。」
「……………………………もう、いい。」
…この男が誰かはわからないが、憐れだ。
「あの……。ここはどこですか?」
もう少しこの二人のやり取りを見ていたいところだが、今は自分のおかれている現状が気になって仕方がない。
見たところ場所は今では珍しい日本家屋のようだ。先ほど開かれた障子からチラっと外が見えたが、庭園のような場所もあった。
何より気になるのは、目の前の二人の格好。
二人とも着物を着ており、脇には刀が差してある。着物はともかく、刀が本物ならば銃刀法違反だ。
意を決して聞いた質問に答えてくれたのは、憐れな男の方だった。
「あぁ、すまねぇ。
ここは壬生にある新撰組の屯所だ。
俺は二番隊組長、永倉新八だ。」
「僕は八番隊組長、藤堂平助だよ。」
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