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「綾さん、今日は楽しかったです」
雛子はクレープを頬張りながら、ニコニコしていた。バスケの時の膨れっ面からは考えられない。
(女の子ってコロコロ表情変わるよなー)
綾はジュースをすすりながら、思った。
「私のちょっと食べます?」
雛子がクレープを綾の方に向けた。
「あ、ごめん。生クリームダメなんだ」
綾は心底残念だった。
(ヒナと間接キス、できたのにな)
はぁーっと溜息を吐く。
変な子、とは思うけれど。雛子は可愛くて尽くしてくれる女の子だった。
(彼女だったら、ヒナの好きな遊園地で手をつないでデートして)
妄想が広がる。
(ヒナは、すきな男いるのかな)
綾はまだ雛子と恋バナをしたことがなかった。
いつも、彼女は可愛い女の子の話ばかりしている。
(レズじゃ、ないよな)
それだったら、性別は変わらない方がいいのか。
ちらっと見るとふんわり笑いかけられた。
「また遊んで下さいね」
ズキューン
やはり、雛子は可愛い。
綾は心底思った。
――――
「ただいま」
家に帰ると、カレーの匂いがした。
「ま、まさか…」
綾は靴を揃えず、台所へ走った。
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