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「それ、すげえ似合ってる」
隆一郎は綾の格好をベタ褒めした。
綾はまんざらでもなかった。
「雛子ちゃんに見繕ってもらった時用に、洋服代を渡しておくよ」
他のことに使っちゃだめだからな、と強く言われ、綾は少し残念だった。
「その格好、似合ってるんだがアレが足りないな」
隆一郎はポンッと手を叩いた。
「今度の日曜は兄ちゃんとデートしよう」
「えーー」
綾は「デート」という単語にげんなりした。スカートを履かされるからだ。
「リバースでうまいもん食わしてやるからさ」
「うっ」
「本も好きな文庫三冊買ってやる」
「うぐっ」
「ツタヤでDVDも借りていいぞ」
綾は隆一郎の悪魔の囁きに負けてしまった。
「…行くよ」
「ははっ、綾は素直でいい子だ」
よく言うよ、と綾は思ったが何も言わなかった。
とりあえず雛子に頼まれた写メを撮ることをお願いした。
カシャッ
「あっ、それ!」
「まあまあ、次は本番だぞ」
隆一郎は白の携帯をポケットにいれ、黒の携帯で綾を撮った。
「ほら、カメラマンがいいから最高に可愛いぞ」
綾は大げさに溜息を吐いた。
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