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月曜。綾は奥田英朗で頭がいっぱいだった。
(よしっ、今日は委員会の当番だし学校にあるか確認してみよう)
朝からお腹が痛かったが、心はウキウキ気分で綾は学校に向かった。
――――
図書室は静かだった。
綾は「グラスホッパー」を読みながら、まわりを観察した。
本を読んでいる人、勉強をしている人。ちらほらいるものの、当番の仕事はあまりなさそうに思えた。
綾は仕事を少しの間、クラスメイトにお願いして奥田英朗を探しに行くことにした。
(おくだ、おくだ…、あ、あった!)
本棚が高く、綾の手には届きにくいところに目的のものがあった。
(ぐぐっ、後もう少し…)
(えいっ)
力強くのばすと、そこにあったはずの本がなかった。
「おまえ、踏み台使えばいいだろ」
目の前に、眼鏡の男が立っていた。
「これでいいのか?」
目の前にだされた本のタイトルは「イン・ザ・プール」。
「あ、ありがとう、明治くん」
「…ああ」
翔平から本を受け取ると、綾は目眩がした。
「…江崎?おまえ、顔色悪いぞ、平気か?」
「あ、う、うん…へい…き」
綾は本棚を掴み、深呼吸をした。
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