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ガラガラガラッ
「じゃ、また後でな」
大陽の耳に、翔平の声が飛び込む。心なしか浮かれている気がした。
「あ、うん…」
綾の声も聞こえる。何故だか、元気がなさそうだった。
(一緒に来たのか?)
自然と綾に目がいってしまう。
顔色が悪く、そして、溜息の数が多かった。
(何が、あったんだ?)
大陽は二人のことが気になり、授業中もうわの空だった。
――――
綾は授業中、今後のことを考えた。
(翔平に完全にばれた)
自分は翔平に襲われるのだろうか、そんな考えが頭の中で駆け巡る。
(いや、待てよ。翔平は女の子の話は全くしなかったよな)
大陽とグラビアをみていても、翔平は興味を持たなかったことを思い出す。
(でもなー、翔平はきっと俺と同じ童貞だしなー)
うーーっと唸る。
「江崎、そんなにわからないのか?」
パコッと叩かれ、前を向くと先生がニヤリと笑った。
「今は、現国じゃない。数学の時間だぞ?」
「ひ、ひゃい、すみません…」
綾は怒られ、特別に宿題を出された。
翔平はその様子を見て、笑いを噛み締めた。
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