5

9/10
前へ
/487ページ
次へ
ガラガラガラッ 「じゃ、また後でな」 大陽の耳に、翔平の声が飛び込む。心なしか浮かれている気がした。 「あ、うん…」 綾の声も聞こえる。何故だか、元気がなさそうだった。 (一緒に来たのか?) 自然と綾に目がいってしまう。 顔色が悪く、そして、溜息の数が多かった。 (何が、あったんだ?) 大陽は二人のことが気になり、授業中もうわの空だった。 ―――― 綾は授業中、今後のことを考えた。 (翔平に完全にばれた) 自分は翔平に襲われるのだろうか、そんな考えが頭の中で駆け巡る。 (いや、待てよ。翔平は女の子の話は全くしなかったよな) 大陽とグラビアをみていても、翔平は興味を持たなかったことを思い出す。 (でもなー、翔平はきっと俺と同じ童貞だしなー) うーーっと唸る。 「江崎、そんなにわからないのか?」 パコッと叩かれ、前を向くと先生がニヤリと笑った。 「今は、現国じゃない。数学の時間だぞ?」 「ひ、ひゃい、すみません…」 綾は怒られ、特別に宿題を出された。 翔平はその様子を見て、笑いを噛み締めた。
/487ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5120人が本棚に入れています
本棚に追加