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「明治くんっ!!」
昼休み。雛子と昼飯を食べ終わった後、綾は顔を真っ赤にしながら翔平の席に行った。
あまりの大きな声に、まわりの注目を集めたが当の本人はまるっきり気付いていなかった。
「なんだ、江崎」
目を細めながら、口角を上げる姿。翔平の隠れファンは息を呑んだ。
あんな姿、はじめてみた、と。
「あ、は、話があるのっ!」
(いちいち反応が面白いよな、リョウは)
ククッと笑い、翔平は頷いた。
「じゃあ、生徒会室に行くか。誰にも聞かれたくないだろ?」
耳元で囁かれ、綾はゾクッときた。
「さ、行くぞ」
二人は教室から消えていった。
その姿をみて、クラス中が沸きだった。
雛子は美男美女が並び、うっとりした。
(綾さんに恋の予感ですわ♪次の計画をはじめなきゃ、ですわ)
大陽は、食べていたパンを思わず落としてしまった。
「森永、今日絶対おかしいって」
「しっかりしろよ、大陽~」
大陽は落としたパンを拾いながら、悶々と考えた。
(俺は、なんで苛立ってるんだ?)
まだ彼は、それが恋ということに気付いていなかった。
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