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公真
「……それで俺にどうしろと」
ぬえ
「もう一度布団交換して」
公真
「お前、自分がどれだけ無意味なことしてるか気付いてる?」
ぬえ
「いいから代われ。布団返せ!」
公真
「はぁ~……?」
なんで俺怒られてんの?
何度も布団から出るのって寒くて辛いんだぞ。
それくらいお前にだって分かるだろうに、何故無駄に体温を放散させるんだ。黙ってジッとしてれば眠れるのに非効率過ぎる。
しかし渋々布団から出て、違う布団に移動する俺……正直情けない。
子供をしかれない親ってこんな気分なの?
三度目の正直だ。今度は念仏ではなくて哲学をしていよう。
今一度冷えた髪を温め、人間とは何かを根本的な部分から考察していく。
生物の価値が体重なのだとしたら、今は象等が最も優れている生物だ。
生物の価値が体積なのだとしたら、今はシロナガスクジラ等が最も優れている生物だ。
生物の価値が知恵なのだとしたら、今は人間や妖怪が最も優れている生物だ。
人間には理性という特殊な知恵があり、それこそが……
もぞもぞ……
公真
「………………」
り、理性こそが人間の……
ぬえ
「………………」
布団に、ぬえが入り込んできた。
公真
「お前……俺から人間の特殊な知恵を奪おうとするな」
ぬえ
「……何言ってるのよ」
なら分かりやすく言ってやろう。心の中で。
……お前のせいで俺の理性がヤバい。
公真
「な、なんでお前……」
ぬえ
「……抱き枕、欲しかっただけよ」
ギュッ……
公真
「ぁ……」
布団の中でも、しっかりと伝わってくるぬえの体温。
かつてあっただろうか。心がここまで揺れ動いたことなどが。

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