始まりの日

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「彼女が欲しい」 「おーおー。それは一年の時から聞いてるぞ」 4月の上旬、無事に進級し、晴れて高校二年生となった俺、池沢陽平は、ここ、2年3組の教室で親友の話相手をしていた。 まだ授業が始まるには早いということもあり、教室にはまだあまり学生は来ていない。 「わかっている。かれこれもう150回以上は言ったこともわかっている。でも何故今もなお言うかわかるか?」 「…いえ、わかりません」 「わかるだろぉがぁ!彼女が出来ねぇからだよぉ!」 そしてその話相手、今俺に向けて唾を飛ばしながら叫んだ男が、親友の田上 祐二だ。 学力低迷、しかしながらスポーツ万能、そして高い身長、黒髪のショートヘアーのもとにある整った顔立ち。 今現在、俺はそんな半完璧人間からはなかなか聞けないような言葉を聞かされている。 「まぁ…普通に考えればそうだ。でもな祐二、お前は一年生のとき、いや、二年生になってからも含めて何人の女の子を泣かせてきた?」 「はぁ!?泣かせてなんかない!相手にゴメンって言ったら相手が勝手に泣き出すんだ!」 こいつはさっき紹介した半完璧ステータスのおかげで、カナリの数の告白を受けている。 だが彼には最悪の短所が存在していた。 名称は無いが…敢えていうなら『少し変わり者』というやつだろうか。
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