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あの日、石神さんから謝罪を受けた日から一週間がたった。
日差しは春のほんのりした感じとは少しだけ離れ、朝や夕方は過ごしやすいものの、日中は日差しが強くなってきた。
それを人間である俺、池沢陽平も少しつらいと思うのは普通で、変態ながらも体は人間の構造をしている田上祐二もそう感じる。
時は昼休み、俺と祐二は購買で買ったパンを右手に持ち、屋上の日陰に避難していた。
目的は、祐二にある相談をするため
「なぁ、祐二」
「ん?何だよ少年」
「…突っ込みたいところはいろいろあるけど無視して…話がある」
「無視…そして自分の話に引きずり込む強引さ…あはぁ、感じちゃ…どぅふぅっ!」
危ない方向に進みかけた祐二の腹にすかさず右ストレートを打ち込んで黙らせた俺は本題に入った。
「それでさぁ、祐二」
「うぐ…は、はい、なんでしょうか?」
「どうやったら石神さんに振り向いてもらえるんでしょうか?」
そう、俺の相談は石神桜さんとどうやったら仲良くなれるか、だ。
俺が彼女に嫌われていることは祐二も充分知っている。
だからこそ意見が欲しかった。
祐二はしばらく考えた。
こめかみに親指を当ててグリグリするという少しむかつく姿勢だが、イケメンだから許されるのだろう。
と、ふいに彼は顔を上げた。
屈託なき笑みで、まるで何十分もかけて解いていた問題の答えが出たかのような笑みで、その整った顔を上げた。
「無理じゃね!?」
そう言葉をそえて
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