始まりの日

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決して嫌味ではない。 ステータスの良い田上祐二君が平凡人間であるこの僕、池沢陽平にこんな質問をするのは決して嫌味ではない。 きっと彼は純粋に気になっただけで、ただ単に男同士で恋愛について語りたかっただけなのだろう。 当然俺に彼女なんて都市伝説が存在するはずもなく、それゆえに返す答は一つ。 「いや、いないけど?」 「フッ、まぁそうだよね」 前言撤回、ただの嫌味だ。 「ゴメンゴメン!悪かった!いや、マジで!」 今の状況? 俺が馬乗りになって祐二を殴っている。 なんかあれだね、イケメンが苦しむ姿、ぐっと来るね。 俺はもしかしたらSなのかも知れないな。 ちなみに周りからは女子の怒りの目が突き刺さっているけど気にしない。 そして数分後にチャイムが鳴り、始まった授業。 退屈な時間を全て乗りきった俺は帰路についていた。 部活は何もやっていない。 祐二とは家が逆方向のため、帰り道が一緒になることはまずない。 他の友達は部活に入っているからテスト週間くらいしか一緒に帰ることはない。 ふいに、祐二が今日も連呼していた言葉が頭に浮かぶ。 「彼女…か」
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