始まりの日

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しかし車は俺の方に向かってきているのではなく、かなり右方向にそれている。 「ふぅ…」 と息を吐き、俺は車が向かう先を見た。 ガードレールがしっかりと備わっているため、運転手は軽傷で済むだろう。 が、しかし そのガードレールの先を見た俺は絶句した。 「ウウ、ヒック…」 「なっ…!」 ガードレールの横には、保育園に通うくらいの大きさの女の子が泣いていた。 きっと恐怖で動けないのだろう。 ―――助けなきゃ!もしもあの子に何かあったら… 俺の心はとっさにそう想った。 が、思っただけ。 脳はそれをするための命令を出さなかった。 いや、出せなかった。 やることはわかっているのに、恐怖に体が制されているため動かない。 「うわぁぁん!」 大声で泣き出す女の子。 何もできない自分。 ―――くっそぉ……! そう唇を噛みしめたときだった。 「えっ?」 少し甘い匂いを残し、横を走り抜けた少女。 同じ制服を来て、オレンジ色の髪を夕焼け色に染めている。 向かう先は泣く女の子のもと。
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