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慌てふためく教師達の様子に、リュオの表情から血の気が引いていく。
その様子は、やってはいけないことをしてしまった小さな子供のようだ。
「…すいません。
俺はどうなるんでしょうか?」
押し寄せる不安を押さえつけて、今にも消え入りそうな声でケルブに尋ねる。
「前例のないことじゃからな。
だが、安心するといい。
君の家庭の事情は知ってるし、君の特待生の待遇は変わらんよ。」
それを聞くとリュオの表情は心なしか明るくなった。
「とりあえず、君は戻りたまえ。
この事例は学園側で調査をおこなって何か分かり次第、君の方にも連絡を入れる。」
「はい、お願いします。」
ケルブの判断に身を委ねると、リュオは一礼してから舞台の上から去っていく。
「ケルブ学園長、彼には属性がないのでしょうか?」
リュオが十分に遠くへ行ったのを確認すると、ダリアは翠がかった瞳に不安を映して訪ねる。
その問いに対してケルブは答えの代わりに大きな溜息を着いた。
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